『福祉居住フォーラム』を開催しました!!

開催レポート

「福祉居住フォーラム」の6回目を開催しました。
空き家の活用事例を3つご紹介していただきました。
3つの異なる視点(建物オーナー・土地オーナー・社会福祉法人)から、空き家の活用に至った経緯、失敗など、現在までの取り組みを語っていただきました。

□安藤勝信さん
 
 【空き家だらけの古いアパートをデイサービス施設に再生!!】
・仕事漬けの日々に「自分の仕事はだれを幸せにしているのか?」を自問自答する。
・「マーケティング思考(消費経済)」から「関係性のデザイン思考(しあわせの経済学)」へマインドがシフトしてきた。
・家族の建物を買い取り,「小さいながらも人の交差する路地のような場をつくりたい!」と起業。
・数々の失敗。住宅が余っている時代はお金を掛けて部屋をキレイにしても住む人は簡単に出てこない。
・突然家族の介護が必要になった!
・「福祉は住宅に始まり,住宅に終わる」という言葉に出会う!!⇒ひらめく!!
・借り手のいない古い木造賃貸アパートで「福祉」×「空き家」にチャレンジしよう!
・まちに開く、デイサービスと地域の寄合所を思い切ってつくってみた!
・近くにある畑や古い家もまちに暮らす人も「地域資源」と考えた!
・実家は元々農家。だったら地域資源として活用しよう!
「畑×デイサービス」「畑×光齢者」「畑×保育園」掛け合わせてみた!
・地域にこの場所を開くための仕掛け実施「DIYワークショップで縁側作り」「コミュニティガーデン」「地域ツーリズム」「地域×認知症カフェ」「地域×映画祭」などで人を集め場所の周知を図る!いろいろ試した。
・「福祉」≠「介護」。「福祉」=「しあわせ」という考え方に出会う!!
・「しあわせの経済学」≒「お互いを活かしあう関係性」(空き家×ケア×アート×都市農業×子育て)
・「強い紐帯」から「弱い紐帯」へ。ローカルに弱い紐帯をたくさんつくる。同じような価値観でつながり過ぎないで、様々な価値観を持った人たちがゆるやかに交差する場所がよりよい関係をつくり出す。という考え方に強く魅かれた!
・お互いの不得意を補い合う関係でチームを作るとなんだかいろいろ回りだした!
 →どんな仕組みをつくるかよりも、誰とチームをつくるのか!
  ⇒「対流が先」「構造は後」!!!
このあと,お話は「賃貸住宅の原価」や「建築費のコスト」から「ギフトエコノミー」「プレイスメイキング」まで一気に駆け抜けます。今後の活動も示されましたが、その際にも安藤さんのお考えの根本には、「生きにくい現代社会を生きていくための居場所をつくること」という強くてやさしい思想がしっかりと根付いているように感じました。そしてお話がたいへんお上手で,資料も分かりやすく,見ていて楽しいので,あっという間の45分間でした!!



□石井秀和さん
 近日公開!

□森田健一さん
 横浜市、川崎市、町田市の境に設置されている社会福祉法人合掌苑のマネージャーである森田さん。
 法人の幹部職員として、経営戦略を担当しています。
 事業量の拡大から、「事業対象分野の拡大」、「(業務を提供できる)地域の拡大」への取り組みと同時に、サービスの質の拡大を図ってきた、ということです。

「事業対象分野の拡大」では、これまでバラバラに進められてきた「高齢」「障がい」「児童」の福祉について、今後は地域包括ケアシステムを推進するためにも、3分野を横断した一体的な支援のできる仕組みが必要となると考え、実行に移しました。
 それは平成29年度から、事業を高齢者中心のサービスから障がい者及び障がい児へ拡大したことです。

「地域の拡大」では、高齢福祉サービスは、介護保険制度内の対応だけでは今後、先細りになると考え、地域ケアシステムの中核施設となるべく、介護保険事業、介護予防事業、生活支援サービス事業に加えて、独自の事業を計画しました。
 それは法人のもともとの成り立ちが寺院であることに立ち戻ることでもありました。
 かつて空襲で被災された高齢者の方々をお寺の境内でお世話したこともあり、地域の中の施設という理念は法人の基本理念でもありました。
 そこで法人内で地域の取り組みをマネジメントする「地域福祉支援事務局」を新設し、高齢者の自主サークル支援、こども会支援、こども食堂・居場所つくり支援、障がい者の雇用・就労支援、生活困窮者に対する家賃補助や食費補助なども行っています。
 また空き家等を活用した地域交流スペースの無料開放、シングルマザーのシェアハウス、5分間100円の御用聞き(相談、話し相手、家事代行)なども行っています。

 現在、職員の離職が少ない社会福祉法人との評価を得て、さまざまな法人から見学を受け入れるようになった背景にあるのは、法人の理念に裏打ちされたこのような取り組みを、職員が主体的に担うこともあるのではないかと考えている、ということでした。
「職員が主体的に」という部分がポイントと感じました。
 森田さんのお話の中に、「マネージャーの仕事はとにかく職員の話を聴くこと!」、「時間よりも面談回数!」、「少しの時間でも1対1で!」、「個室で落ち着いて面と向かって話を聴く!」などの言葉がありました。
 職員の方々に業務を「主体的に担ってもらう」ためにすることは、『よい職場環境をつくること』。
 それには、とにかく「職員の話に耳を傾けること!」といことを深く感じ入りました。

 

【印象に残る内容とその理由】
 ・編集中!

【座談会の内容】
大原:どうやって人集めをしたのか?
安藤:スタートと始まってからでは必要な資質が違う。
  どちらかといえば偶然の一致を大事にしている。
  ニーズからやれそうだ、ではなく、自分の困りごとやあり方を重要にする。
  事業所や建物はできあがってからが実は勝負で見た目のおしゃれさではない。
  やはりデザインする人は出来上がりをよく見せたいのでふつうはカッコつけたデザインにしたがるが、そういったことよりも、関係性のデザインのほうが重要である。
  本当はかっこわるいがデイサービスに名前入れたくないがそのほうが名前がわかる方がいい人もいる。
  かっこよさよりも求められていることに応えることのほうが重要。
大原:計画重視ではなく、ゴールありきではない、という
安藤:バックキャスト側の仕事をしていたのでマーケティング時代の癖がついていて苦労した。
大原:方程式はない。うまく行ったひとは後付けでいいことを言える。 
  石井さんについては、画一的なことを量産していても意味がない、ということには同意する。
  さらにチームを巻き込むことが重要なのはよくわかるが一人ではキャパシティオーバーになってきたときはどうして考えてきたのか?
  また、自分の引き際をどう考えているのか?
石井:人と関わりたいけど雇用はできない。だったらつながる場所づくりをしてみた。実際はカフェをやっても単身者は来客しない。
  上の入居者はこないので当初の見込みは崩壊したがあらたに仲間ができたのでその価値を大事にしている。 
  結局人と人のつながりをいかすにはその人を信じるだけで引き際は考えていない。自分の役割としては、たのしい話をいい続けるだけでお任せしている。
大原:新たに事業を興すという強い決意はなかった?
石井:持っている価値を下げないという考え方で大きく稼ぐ必要はない。
  今のような減少時代は拡大路線ではなく、価値観重視なので、本当は新たに儲かるような事業をどんどん始めるという考えはなかった。
  求められていつの間にか地域を巻き込むようなイベントを開催するようになっていた。
大原:組織の中での展開事例だが、地域へ目を向けた独自事業で地域課題の解決をする法人はなかなか貴重な方向性と考える。
  だからそ離職率が低い法人になるのではないか。
  多くの社会福祉法人はそういったことはできない。
  制度の外へ踏み出した秘訣はどんなものか?
森田:事業環境を分析すると差別化要因を探してきた結果といえる。
  給与も法定価格なので差別化できない。
  オーストラリアも同様の仕組みと感じたがまねできる部分は多少であった。
  北欧はあまりに国民への負担で高すぎて参考にならない。
  いろいろヒアリングした結果、法定労働時間と所定労働時間がずいぶんちがっていた。
  そこが差別化要因だったと気づいたが残念ながら介護事業では差別化ができない。その点、法人独自の事業はやらされ感がないので高循環ができた。
大原:定年撤廃もそうだが、やりたいことをやりたい人がやる、ということがよい結果につながっているように感じている。そこで失敗例も教えてほしい。
安藤:社会福祉施設との連携は「いいね」と「本当にいいね」は大きく違う。
  関係構築までは1年かかった。
  そうした中で、「過去と他者は変えられない」、ということを学んだ。
  自分のスタイルは、問題をいかになくすか、というより問題を起こしながらすこしづつ改善するという考え方。
石井:最初は、ハードをつくってソフトをつくるが、それではきれいだね!で終わってしまう。
  自分の失敗は色々やりすぎて体こわした。だれかになにかをやってもらうのに自分がいないのは失礼だと思っていたが、自分がやりすぎるのはだめだということを知った。
  体調管理を重視しながら、自分がやりたいことを我慢して任せる。
森田:中間管理職として、ESとCSのバランスを間違っていた。
  CSを高めようと一生懸命サービス向上を言い続けたのだが、言い過ぎるとついて来れない人たちもいることに気がつかなかった。
  ES以上にCSはあがらない。CSをあげるにはとにかく先にESをあげるということを学んだ。
高野:事業継続に必要な一番は人。従業員がしっかりしているところは継続している。
  日常の「こんにちわ」をしっかりといえるか,という当たり前のレベルと、トップの意識の高さが重要。
  福祉はやりがいにシフトしがちだが、お金がちゃんと回らないと組織はいくらよいことをしていてもだめな組織。
  従業員に給料をしっかりと払うことが、よい経営者としての大前提の条件。
  時代が変わっているのに今だに,世の中では新規マンションをドンドン建てて、そして空き家がガンガンできているおかしな状況。
  こんなへんなことになっている一番の原因は役所の所管が違うこと。
  そうしたなか、我々が自分たちでもできることは要望を政治家にあげること。
  政策提案として困りごとやイヤだと思うことをしっかりと意見を言うこと。
大原:今回のそれぞれの事例は簡単には真似のできないすばらしい取り組みだった。
  40代の発表者は我々の世代と大きく違った価値観を持っている。
  空き家が身近にあったからこそ、社会が減少時代が殻こそ、そうした状態から「こうあったらいいな」、という思いを形にしていた、そういった事例発表だった。
  身近なことは制度との狭間でどうするか、ということを今回教わった。
  そのためにはその地にいる地縁を生かしたネットワークの活用ということが大きい要素でだった。
閉会:
  いつのまにかこのイベントも第6回目になった。
  満席ではなかったが、よい刺激を受けれたと思う。
  空き家や空き土地という地域の資源を必要な福祉関係に活用したいと法人を設立したが正直に言って今は苦労している最中である。
  空き家や空き土地のオーナーと、活動したい人とのマッチングをしたいがなかなかうまく行かない。
  それでも空き資源を活用して、今回のようなよい事例を真似して、そして私達の取り組みも真似されたい。
  このようなことをするためにこの法人を設立した。
  本日はご参加くださり本当にありがとうございました。
  今後もよい事例の発表会をしつつ,実事業での社会貢献をしていきたい。
 

コーディネーター:大原一興 先生(横浜国立大学大学院 都市イノベーション研究院 教授)
コメンテーター :高野伊久男先生(税理士法人タカノ 代表)

【参加者の感想】

「行政が関わらないところで,営利企業の人たちが,非営利のことを楽しげにやっている清々しさ」

「個人でも地域で活動したいと思っている人がたくさんいると思います。その人たちと空き家を持っているオーナーとをマッチングさせるような仕組みがあればいい」

「福祉分野の人間としては,それ以外の方の視点や発想は刺激的でこれからも学び自分の業務に生かしていきたい」

「どの内容もよかったです。ありがとうございます。オーナー側,不動産側の話を聞く機会が今までなかったので新鮮でした。経費,資金繰りなど具体的でよかったです。お金のこと大切です」

「今後も空き家活用情報を紹介してほしい」


 

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